“私はピラティス派”、“私はヨガ派”と、未だに別れやすいヨガとピラティス。
けれど実際には、両者ともカラダに異なる効果を与えてくれます。
ヨガとピラティスにおける共通点や異なる点をロルファーの視点からご紹介します。
ヨガとピラティス呼吸の違い
→ヨガでも色々な呼吸が時により重視されますね。ピラティスもスタイルによって呼吸の仕方が違います。大切なのは、“どれが正しい呼吸なのか?”を考えることではなく、“どの呼吸でもできるカラダ”です。時と場合により、その時に最も適した呼吸ができる能力が私たちには必要です。
フォーカスされた動き、からだ全体の動き
→ピラティスでは、上級になってくるとカラダ全体を動かす動きも出てきますが、そこに行きつくまでには、どこから動かし始めるか、どこを意識して動かすか、そしてコアを使うということにとてもフォーカスしています。ヨガの一連の動きに比べ、細部にフォーカスをあてていきます。
ヨガの場合、そういった細部よりも、呼吸にフォーカスをあてたり、流れの中でポーズを作っていく。全身運動であり、ダンスのような、からだのコーディネーション能力を問われるものです。
ピラティスでコアの使い方をしっかり学んだうえでヨガを行うと、ヨガの動きがうんと楽になります。
ヨガでからだを痛めたことがないヨガのインストラクターの方たちは、コアをきちんと使う動きをしています。
どのポーズでも、無理がなく、しなやかに動く。
しかし、ヨガの動きやポーズは、力まかせに行ってしまうことも可能です。コアが使えていなくても、外側の力を使い、力づくで行えてしまうのです。
そして、そのようにパワーで行っているという事実に気づかないと、知らないうちにからだをいためてしまいます。
ヨガの動きの中でコアへの意識を高めることも、もちろん可能ですが、かなりの意識が必要です。
ピラティスでコアへのアクセス法を学び、それを利用しヨガを行うことで、しなやかな無理のないヨガが可能になります。そして、ピラティスでつちかったコアの筋肉を、ヨガを行うことによって全身運動の中で利用していく方法を学ぶことができます。
例) ヨガのショルダースタンド
→ヨガのショルダースタンドは、恥骨から天井へと伸ばす感覚を利用するとうまくできます。
そして、その恥骨から天井へと伸ばす感覚はピラティスで学ぶコアの力です。
ヨガでは、からだを全体的に動かし、フローを大切にすることが多いため、からだの奥の方の感覚に集中するのが難しいことが多々あります。ピラティスを通じてコアの使い方やその感覚を学ぶことによって、それをヨガの一連の動きの中でも自然に使いやすくなります。
ピラティス×ロルフィング
・ ピラティスは深くにあるコアの筋肉を鍛えるのですが、実はなかなかここにアクセスするのが難しいものです。
・ ロルフィングの10シリーズを終えると、体の感覚が感じやすくなり、筋肉があるべき場所に戻ってきているので、コアの筋肉にアクセスしやすくなります。筋肉のバランスが整った後に、コアを鍛えるピラティスを行うことは、とても効率的にコアを鍛えられるのです。
・ おなかを使う=おなかの筋肉をかちかちにすること。ピラティスのインストラクターにうかがっても、生徒さんの中にそう思ってピラティスしている方が多いようです。筋肉を使う=かちかちになる=強い。一般的にそう考えられがちですがコアの筋肉は違うのです。使っていても盛り上がらないし、かたくなりません。
コアの筋肉を使う=柔らかくしなやかに伸びる。なのに、強い!なぜかというと深部であればあるほど、からだの動きの線に近くなるからです。
・ ピラティスはコアに働きかけるエクササイズ。しかし、コアを使うためには、外側の大きな筋肉が緩められなくてはいけません。この“ゆるめる”というのが、すごく難しい、と感じる方が多いようです。
そして、グループレッスンでは(特に大人数のクラス)コアではなく、外側を鍛える筋トレになってしまっていてもあまりの生徒の多さに気付いてもらえないことも多く、“これでいいのだろうか?”と思いながら行ってみえる方も多いのではないでしょうか?やはり1対1のプライベートで見てもらうのと、1対20とかで見てもらうのでは、インストラクターが自分のからだに注意してくれる時間が違うのは当たりまえですね。
ロルフィングのセッションの中で、ロルファーに“ここに呼吸をいれてください”、“ここはどんな感じですか?”とたくさん自分のからだの感覚について聞かれます。10シリーズが終る頃には、気付かないうちに、自分のからだが以前より感じられるようになってきます。そして手技によって、筋膜も柔軟になって“外側の筋肉が休まるというのは、こういう感じなのだ”と感じることができます。
そう感じられるようになってから、ピラティスを行うと、今までわからなかった事が、少しはわかる気がしてくるのです。
ヨガ×ロルフィング
・ ロルフィングの創始者アイダ・P・ロルフ博士は、ヨガの理論も多くロルフィングに取り入れています。なので、ロルフィングの中に共通点をみつけるヨギーやヨギーニは多いようです。
・ 過去のアメリカのヨガ・ジャーナルに掲載されたロルフィングの記事から、そこに掲載されていたロルファーとライターの言葉を紹介します。
「多くのヨガを練習する人々がロルフィングにひかれる理由は両者ともに身体のインテグリティーをするものだからでしょう。多くの意味で、ロルフィングはヨガの理論の表現をボディーワークの形にしたものだと思います。」
「多くのヨギーニはロルフィングはからだと心の状態がより安定している場所へと導くことを邪魔する色々なからだのアンバランスを正すことを助けるものであると見出しています。」
・ ヨガのクラスは大人数のクラスが主流です。わからない所や自分が正しく行っているのかどうか、どうやったらうまくポーズをとれるようになるのか、なかなか聞けないことが多い。そういう時に助けになるのが、自分のからだの感覚です。自分で“これ以上無理をしたら怪我をする”とわかること、自分のからだにはこの位置が一番いいと気づけることが大切です。ロルフィングでは、自分のからだを知り、体内感覚を高めていきます。それを利用することで、ヨガの一連の動きの中で、自分のからだの可能性がわかるようになるでしょう。
・ 多くのヨガのクラスでは、フローやポーズがとても大切にされています。一連の動きの中で、力をいれてポーズを作ること、ポーズをまねることはとっても簡単なことです。なぜかと言うと、からだの柔軟性さえ無視すれば力まかせにできてしまうことが多いからです。そこで大切なのが、ポーズからポーズへの移動。そして、本当にポーズが自分のからだにとって意味あるものにする為には、そのポーズを行っている時のからだの使い方、そしてポーズからポーズへの移動が大切です。外側の筋肉を使って力で行うのではなく、コアの力を利用して、できるだけスムーズにポーズを行うのがコツです。ロルフィングでは、実際に動く前の準備段階を意識化していきます。そうすることによって、自分にとってどこに意識をもっていけばコアを使いやすくなるかがわかってきます。
ヨガもピラティスもそれぞれ素晴らしく、それぞれ共通点もあり、それぞれに違う効果が求められます。
そしてロルフィングはその両者の効果を高めます。
カラダの美しさ、強さを、カラダの内側から求め始めることが主流になってきた現在、
ロルフィング、ヨガ、ピラティスをうまく利用し、自分でコントロールできる美しいカラダを得ていきましょう!